コラム

COLUMN

2024.01.26

ガーナのこと

ガーナ大学で出会った恩師

ガーナ大学在学時にお世話になった宗教学の教授Dr.Elom Dovlo に、今年ガーナに行けたらぜひお会いしたいなと思い検索してみたら、なんと5年程前に亡くなられていました。
.
彼から学んだことは20年以上たった今でも、ふとした時に思い出します。
ガーナで不思議な体験をした時に、この体験をどう自分なりに解釈して良いのかわからず、教授に相談したことがありました。
.
その時、彼に次のように言われました。
「この世界には様々なスピリット(霊)がある。占いや呪術の世界も玉石混合。見えない世界のことを伝えて、人を惑わせたり、依存させたりすることが目的の霊もある。だからこそ、どの霊と自分が繋がっているのか見極める客観性、直観が大事になるよ。」
これは、今でも私の見えない世界に対する、物の見かたの土台になっています。自分自身と繋がることが一番大事。
.
比較宗教学の講義で、仏教についても彼から学びました。その時に「日本人としてわび、さびの事について教えてほしい」言われて、なんと説明して良いのか困りました。
私自身、日本の文化や宗教のことを何も伝えられないことが恥ずかしかったです。
.
ガーナにおける新しい宗教の流れ、例えばキリスト教とイスラム教の融合なども教えてもらい、フィールド調査に行ったことも懐かしい思い出です。
.
奴隷貿易を通して世界に散らばったブラックアメリカン達の歴史、宗教観、1960年代のアメリカの公民権運動への流れ、また現代の海外に住むアフリカの人達のアイデンティティについても、彼から学びました。
「今、制度としての奴隷はなくなったけれど、魂の奴隷になっていないか」という言葉が印象的でした。
.
彼の講義はいつも力強く、情熱があり、そしてガーナ人としての誇りに溢れていました。
.
日本にも宗教学関連の仕事で何度か訪れており、東京で彼に再会したこともありました。ご夫婦で大きな身体だったので、日本の絵と文字が描かれた特大サイズのTシャツや浴衣をお土産に買っていたのを思い出します。
.
授業以外のことでも、大学で困ったことがあればいつでも助けてくれました。
お宅にお邪魔した時にも日本のお土産が沢山飾ってありました。
20歳の時に日本からやってきた日本人の私を、娘のように本当に可愛がっていただいたなと思います。
.
私自身、ここ数年見えない世界のことについて自分なりに理解を深め、占星術のこと、仏教の世界について、先生といろいろとお話をしてみたいなと思っていたので、もうお会いできないなんてとても残念です。
.
でも、先生から教えていただいたことは、私の魂にしっかりと刻まれているんだなとあらためて思いました。
.
人との出会いは、本当に不思議。
もう、会えないのは寂しいけれど、肌の色が違っても、世代が違ってもDr.Elom Dovloとはきっと縁があって魂の世界で繋がっているんだなと感じます。
今回、ウエブサイトの生年月日をみても、あらためて思いました。
.
心よりご冥福をお祈りいたします。
そして、今後も私の魂の師匠でいてくださいね。
ありがとうございました。

Photos of Elom Dovlo, (1953 – 2018) – ForeverMissed.com

写真は私の20代の頃。ガーナ大学の友人たちと。

記事をシェアする